トゥルタル城の攻防
〔解説〕
この物語は、ロバート・E・ハワードが創造した〈キンメリアのコナン〉が活躍するハイボリア時代が舞台です。主人公のアルクェルは、アルゴスの出身で(現在の地形だと、作者カペラの両親の母国スペインにあたります)、両親は宮廷の陰謀に巻き込まれてアルゴスから亡命し、その後、コスの反乱軍の敗残兵に殺されました。アルクェルはそれ以来ハイボリア諸国を放浪し、写本筆記者、役者、曲芸師などをして暮らしていきます。このシリーズは、ヒロイック・ファンタジーのファンジンAmraに一九六二年から発表されはじめ、それらの短編五編をつなげて第一部とし、新たに第二部を書き下ろし、それらをまとめてThe Leopard of Poitainとして一九八五年にケルト・プレスという小出版社から刊行されました。
〔作者について〕
作者のレイ・カペラ(一九三三〜)は、本名をラーウール・ガーシーア・カペラといい、スペイン人を両親にもつプエルト・リコのアマチュア作家です。本職は商業美術関係で、米国の大手デパート/カタログ販売のシアーズのアート・ディレクターを務めていたこともあります。イラストレーターとしての実績もあり、また、運輸関係の企業でライターとして働いたこともあります。この作品は、一九六五年にファンジン「アムラ」に発表したものですが、一九七〇年にL・スプレイグ・ディ・キャンプが編纂したヒロイック・ファンタジーのアンソロジーWarlocks and Warriorsに収載されました。カペラの作品は、一九七七〜一九九八年にかけて十篇前後の短篇がアンソロジーや雑誌に収録されています。〔収載書籍〕
〔原作〕
原題:Turutal 作者:Ray Capella 初出:Amra, vol.2, no.32 (1965) 再録:Warlocks and Warriors, ed. L. Sprague de Camp (Hardcover:Putnam,1970; Paperback:Berkley,1971) The Leopard of Poitain, Raul Garcia Capella (Celt Press, 1985)