翼のジェニー
〔口上〕
ケイト・ウィルヘルムの名作短編「翼のジェニー」を新訳でおとどけします。この作品は、訳者としても愛着があります。自分が原書でこんな名作を見つけることができた喜び、それを自分の手で翻訳することができた喜びは、めったに味 わえない経験でした。翻訳発表後、横田順彌さんをはじめ何人かの方には好きな作品として挙げていただき、風見潤さんには、氏が編纂したすてきなアンソロジー「海外ロマンチックSF傑作選2 たんぽぽ娘」に入れていただきました。また、とり・みきさんのコミック「SF大将」でも取り上げていただきました(※)。
SFマガジンに掲載するときに、翻訳家の伊藤典夫さんから訳文が硬いとご指導をいただいて、手直しをしたのですが、いま読んでみると、まだまだ未熟さが目につきます。現在この作品が入手困難ということもあり、本サイト開設一周年の記念に、全面的に手を入れて新訳としてここに公開します。この作品を、みなさんの好きな小説のひとつに加えていただければ、訳者として望外の喜びです。
〔追記〕 二〇一六年にアトリエサードから刊行された『ウィルヘルム初期傑作集 翼のジェニー』に収載されました。収載にあたってはこの短編集を編纂された尾之上浩司さんにたいへんお世話になりました。訳文の用語・言葉づかいでも助言をいただきました。
【訃報】 作者のケイト・ウィルヘルムが二〇一八年三月八日、逝去されました。享年八十九歳。
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※ とり・みきのSF大将 第4回「翼のジェニー」で、手塚治虫さんのブラック・ジャック第五話「人間鳥」のエピソードとからめた内容になっています。なお、手塚治虫さんが「人間鳥」を描いたときに「翼のジェニー」を読んでおられたかどうかですが、「人間鳥」の週刊少年チャンピオン掲載が一九七三年十二月十七日号で、「翼のジェニー」のSF倶楽部掲載が一九七〇年二月二十八日であり、SF倶楽部はたぶん手塚治虫さんにもお送りしているので、読まれていた可能性はあります。
〔翻訳履歴〕
1970/02/28 SF倶楽部 第3号掲載1975/01/25 SFマガジン 一九七五
年三月号(196号)掲載
1980/02/15 集英社コバルト文庫
『たんぽぽ娘』(風見潤編)収載
2005/06/30 旧Babelkndサイトに
アップロード
2016/10/21 アトリエサード刊
『ケイト・ウィルヘルム初期傑作選
翼のジェニー』収載
〔翻訳権について〕
一九七〇年十二月三十一日以前の出版物は、一九七一年の著作権法改正の適用外となり、ベルヌ条約の特例措置「十年留保」(刊行後十年以内に翻訳出版されていなければ翻訳権を取得する必要がない)が適用されます。本作品は一九四八年刊行で、その後十年以内に翻訳出版されなかったので、この特例措置が適用されます。なお、「SF倶楽部」はファンジン(SF同人誌)であることから、一九七〇年の上記翻訳掲載は刊行後十年以内の正規の翻訳出版とはみなされません。
〔お願い〕
リンクは自由に張っていただいてけっこうです。転載や再配布はご遠慮ください。〔ギャラリー〕





〔原作〕
原題:JENNY WITH WINGS作者:Kate Wilhelm
出所:The Mile-Long Spaceship (Berkley Publishing)
刊行:1963年12月