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初心者のためのMS-DOS基礎知識


辞書ファイルの減量化・圧縮などの処理を行う上で、最低限の MS-DOS の知識は必要です。 bookinfo.exe, catdump.exe, squeeze.exe, ebzip.exe など、コマンドラインで実行するソフトは、Windows の感覚でアイコンをクリックしても黒い窓が一瞬開いて閉じるだけですから。ここでは、辞書ユーティリティソフトを使う上で必要な事項に限って説明します。

◆起動
MS-DOS のプログラムを使うには、まず MS-DOS のウィンドウを開きます。このプログラムは、Windows95、98では「MS-DOS プロンプト」と呼ばれていましたが、現在は「コマンドプロンプト」と名前が変わっています。画面左下の「スタート」から起動します。
スタート>プログラム>MS-DOSプロンプト あるいは
スタート>プログラム>アクセサリ>コマンドプロンプト
で見つかるはずです。起動すると真っ黒なウインドウが開き、下記のように表示されま す。表示内容は使用環境により異なります。
C:\WINDOWS>_
「>」のあとで点滅する下線が「プロンプト」(入力を促すものという意味か?) です。ここにソフト名などを打ち込み、Enterキーを押します。

◆ディレクトリとドライブ
Windows の「フォルダ」は、MS-DOS 時代に「ディレクトリ」と呼ばれていたファイルの格納場所を、事務用品のフォルダになぞらえて視覚的に表したもので、同義です。ディレクトリは階層構造に なっていて、最上層を「ルートディレクトリ」、現在自分がいるディレクトリ(上の例なら \WINDOWS)を「カレントディレクトリ」といいます。また、下層のディレクトリを「サブディレクトリ」と呼びます。
各ディレクトリ名の頭には「\」マークをつけます(欧米では半角の\(バックスラッシュ)が使われます。その文字コードが日本では \ に対応しているので、\ と表記されます。日本でマニュアルなどの表記で代用として「/」を使うこともあります)。カレン トディレクトリを移動したいときは、「CD」(Change Directory)というコマンドを使います。WINDOWSの下のSYSTEMというディレクトリに移るときは、
CD \WINDOWS\SYSTEM  または
CD SYSTEM
とします。先頭に \ がついているのは、ルートディレクトリを基準にした絶対指定です。頭の \ をはぶいているのは、カレントディレクトリより下層のサブディレクトリに移るときの相対指定です。
また、ドライブを変えるときは、単にドライブ名のあとにコロン「:」をつけて、
D:
のようにします。

◆パス(PATH)
使用するソフトがカレントディレクトリにあるときは、そのままソフト名を入力します。 そうでないときは、ソフト名の前にディレクトリ名をつけるか、あるいは CD コマンドで、ソフトのあるディレクトリに移っておくかしないと、MS-DOS はソフトがどこにあるのかわからず、「コマンドまたはファイル名が違います」というエラーメッセージを出します。しかし、パス(経路)を通しておけば、設 定されたパスすべてを探し、そのソフト名が見つかれば実行してくれます。パスは、パソコンが起動したときに実行される AUTOEXEC.BAT というファイルの中にあらかじめ記述されており、ユーザーが書き加えることもできます。
現在のパスを知るには、「PATH」のコマンドを使います。
PATH  とすると、
PATH=C:\WINDOWS;C:\WINDOWS\COMMAND;\C:\PERL\BIN
のように、カンマで区切った複数のパスが表示されます。
これに、一時的に新しいパスを書き加えるときは、「SET」コマンドで以下のようにします(%PATH% は現在のパスを表す)。
SET PATH=%PATH%;C:\DICTOOLS
注意しなければいけないのは、パスはコマンド(実行ソフト)に対してだけ有効だということです。コマンドのあとに続くデータファイル名に対しては役に立ち ません。データファイルがカレントディレクトリにないときは、ファイル名の前にディレクトリ名をつける必要があります。

◆コマンド
コマンドには内部コマンドと外部コマンドがあります。
内部コマンドは MS-DOS に内蔵されているもので、これまでに説明した CD、PATH、SET などもそうです。これらのファイル名は探しても見つからないはずです。外部コマンドは、ハードディスクなどの外部メモリ上にある実行可能なソフトで、拡張 子にEXE、COM、BAT のいずれかがついています。
コマンドを実行するときは、そのコマンドで決められたルールに従って記述する必要があります。一般的には、以下のようです。多くの MS-DOS コマンドは、オプションに /?、-?、/h、-h などをつけて実行すると、簡単なヘルプを表示します。
コマンド (オプション) 入力ファイル 出力ファイル
標準的な出力先が画面のときは、出力ファイルの項はありません。これを、テキストファイルに落としたいときは、「>」という記号を使って、出力先切 り替え(リダイレクト)を行います。2つ例を示します。
CATDUMP CATALOGS > CATALOG.TXT
BOOKINFO HONMON > KOUJIEN.TXT
なお、コマンドラインは大文字・小文字どちらでもよく、コマンドの拡張子は通常省略します。

◆ファイル名
ファイル名(ディレクトリ名も含む)のルールは次のようです。このルールに合っていな いと、MS-DOS はファイルを実行、入力、出力することができません。
・半角換算で8文字以内
・拡張子は半角3文字以内
・大文字と小文字は区別しない
・スペース、(拡張子以外の)ピリオド、カンマは使えない
・\ / : ; * ? " < > | は使えない(Windows と共通のルール。ほかの記述のために使われている)
Windows では、各ファイルが通常のファイル名のほかに「MS-DOSファイル名」というのをもっています。ファイルを右クリックしてプロパティで確認することがで きます。上のルールに則っていれば、両者は同じ名前になります。もし違っていた場合(たとえばファイル名が DICTIONARY.DAT、README.HTML の場合)は、スペースやピリオドは取り除いて頭の6文字をとり、通し番号がつけられます(前述の例だと、DICTIO~1.DAT、 README~1.HTM)。MS-DOS ではこの名前を用います。

◆編集
コマンドの実行でエラーが出て、入力間違いに気づいたとき、似たようなことを再入力す るのはめんどうです。MS-DOS では、Windowsと違ってコピー&ペーストはできません。しかし、ひとつ前の履歴は残っているのです。右キー(→)を押していくと、ひとつ前に入力し た通りの文字が出てくるのが確認できるはずです。書き換えたい位置では、右キーを押さずに文字キーで上書きします。以下のキーで編集もできます。
・左キー(←)またはBackSpaceキー……左側の文字を消す(メモリ内には残っ ている)
・Deleteキー……前回その位置にあった文字を削除して、メモリ内の文字を左につめる。
・Insert……挿入モードON/挿入モードOFF(前回より文字数をふやすとき使う)
これだけでもけっこう便利ですが、DOSKEY というコマンドを実行すると、さらに編集機能を高めることもできます。
・上下キー……(DOSKEY実行後の)過去の全履歴みる
・左右キー……編集のためコマンドライン上を移動する
・Esc……コマンドラインを消す
そのほかにも機能がありますから、DOSKEY /? を実行して、ヘルプを参照してください。

◆バッチファイル

複数のコマンドを自動的に連続して実行したいとき、バッチファイル(拡張子BAT)と いうテキスト形式のファイルに記述します。簡単なプログラムのようなものです。たとえば、(1)DOSKEY を実行 (2)ディレクトリを \DICDATA に変更 (3)C:\DICTOOLS にパスを通す、という作業を自動化したいときは、メモ帳やテキストエディタで以下の3行からなるバッチファイルを作ります。
DOSKEY
CD \DICDATA
SET PATH=%PATH%;C:\DICTOOLS
これを DIC.BAT という名前で WINDOWS のディレクトリに入れておいて、MS-DOS 起動時に DIC と打ち込めば、上記の作業が連続して実行されます。
また、1行だけのコマンドでも、MS-DOS を起動して、ディレクトリを移動して、長いオプションをつけたコマンドを打ち込むのはめんどうだという場合は、そのコマンドを記載したバッチファイルを、 実行するディレクトリ(フォルダ)の中に作り、マウスでクリックすれば、OKです(実行するディレクトリ内に作るので、パスを通したり、コマンドの頭に ディレクトリ名をつけたりする必要はありません)。
〔例1〕squeeze -d01-03,06-8F,92-FF honmon honmon0
〔例2〕catdump catalogs > catalogs.txt
〔例3〕ebzip -u